今回は旅行業者の倒産として最大級といわれ世間をにぎわせている、“てるみくらぶ倒産”について紹介したいと思います。
てるみくらぶといえば、新聞広告や「トラベルコ」などの媒体でも目にすることがあった旅行会社だったので知っている、聞いたことがある、という方も多くいるのではないでしょうか?
私も以前に利用しかけたことがあった旅行会社だったので一連の騒動にはショックをうけた次第です。
旅行を計画する際、誰でもがすこしでもお得なプランを選ぶのは当たり前です。
今回の騒動の怖さは、今後の旅行会社を選ぶ際に、第2のてるみくらぶかどうかを区別するのが難しいということです。
会社のキャッシュフローまで調べることが困難である以上、どの会社が第2のてるみくらぶなのか?
これを判別するのがムズカシイということです。
ではまず今回のてるみくらぶの事実関係について少し説明を。
てるみくらぶは、今月(2017.3月)の27日、資金がショートし営業の継続が難しくなったとして東京地方裁判所に破産を申請し、破産手続きの開始決定を受けました。
数日前の3月24日の時点で、てるみくらぶは一部の利用客に航空券を発券できない旨などを知らせるメールを送信し、観光庁に問い合わせが殺到。
負債の総額はツアー代金を支払った利用客や、取引先や金融機関など合わせておよそ151億円に上るということです。
では、今回の騒動の被害状況の規模と内容について詳しく紹介したいと思います。
被害の現状
今回のてるみくらぶ利用者の被害状況は過去最大規模。
- 被害件数、3万6000件
- 返還金、たった1%
- 現在旅行中の滞在者は見放される
今回の騒動で影響を受けるのは合わせて約3万6000件といわれています。
人数にしておよそ8万人〜9万人が被害にあい、代金の総額はなんと99億円超といわれています。
また、てるみくらぶが属している日本旅行業協会の保証金も1億2000万円にとどまるため、わずかしか返還されないと予想され今後の影響の広がりは必須といわれています。
実際に返還される金額はたった1%程度にとどまるといわれています。
20万円の旅行代金の場合、たった2千円ということになります。
また、被害金のみならず現在渡航中のひとたちにも多大な被害が発生しています。
現在、てるみくらぶのツアーの利用客で海外に滞在している人数は、26日時点で38の国と地域で約2500人といわれおり、
現地のホテルで再度支払いを求められる場合や、予約が入っておらず宿泊を断られるおそれがあるといわれています。
経営悪化となった原因
てるみくらぶの成長をささえていた手法である、航空会社から売れずに余った席を安く仕入れ、格安の海外ツアーを企画。 それを販路としてインターネットを通じて広く多く販売する方法。
しかし、格安航空の登場、また各航空会社が格安プランをうちだすべく経営の効率化を図った機体の小型化の傾向。
それにより座席が余らないようになり、割安な価格での座席確保が難しくなる。
おととしからシニアの旅行客を獲得しようと新聞広告を強化するも、経費がかさむようになり業績がさらに悪化。
またハワイなどに設立した現地法人や、国内の事業拠点の拡充なども資金負担となる。
多くの要因が挙げられますがそのなかでも新聞広告の経費が最大の要因といわれています。
起死回生を狙うべく現金一括入金キャンペーンなどを行うも、資金繰りは改善せず限界に達したといわれます。
いわば現金の自転車操業状態がつづき、とうとう車輪がまわらなくなったといえます。
沈みかけた船による起死回生をねらったこの現金一括が、今回の被害の性質の悪さを大きく占めています
そもそもてるみくらぶってどんな会社?
1998年設立で、資本金は6000万円。従業員130名。
東京に本社をかまえ大阪、名古屋、福岡、札幌に支店をもつ。
ハワイやグアム、アジア方面を中心に格安の海外旅行で業績を伸ばすものの、格安旅行会社の過当競争などで収益を落とす。
成長の裏には、航空会社から売れずに余った席などを安く仕入れ格安の海外ツアーを企画し、インターネットを通じて広く販売したことが挙げられる。
またおととしからシニアの旅行客もとりこもうと新聞広告にも強化。
今回その重なる広告費との採算が合わず、経営が悪化したと言われています。
負債総額は約151億円で、約3万6000人が影響を受けそうだとしている。
今回の倒産は旅行業者の倒産としては、過去4番目、リーマンショック後最大と位置づけられている。
気になる社長の人物像
山田千賀子
元搭乗員の経歴をもち、26歳の若さで同社の役員になり、そのままわずか5年で代表取締役社長に。
会社選びの注意ポイント
旅行会社を選ぶ際、ネットなどの広告で探される方は多いと思います。
最近、ホテルの料金やツアーの料金が比較できるといったサービスを提供するサイトもあちこちで見かけられます。
少しでも安く、少しでもお得にと思うのは至極当然のことです。
格安の航空会社が登場しているなかで、格安の旅行ツアープランが溢れていてもそこに違和感を感じることもないでしょう。
“第二のてるみくらぶ”が生まれる、またはもうすでに生まれている可能性は否定できないのが現状でしょう。
会社の財政状況を調べるべく、キャッシュフローまでもをも調べることは困難です。
じゃあ消費者のわれわれが少しでも今回のような被害にあわないためには?
まず1つの対策としては、一括の現金支払いを求め、なおかつ支払いを急かしてくる会社を避けることをオススメします。
その会社すべてがダメだという訳ではありませんが、避けて損することはないと思います。
というのも、旅行業において申し込みの時点で全額を支払う義務はありません。
出発までに全額を支払う義務はありますが、申し込みの時点で全額を催促してくるような会社は避けましょう。
どこの旅行会社でも、契約時のルールが記載されている旅行業約款があります。そこには、いつ契約が結ばれ、どんな契約内容かについて書かれてあり、旅行代金についても記載がされています。
申込金という欄の項目で確認できます。
通常、申込金は旅行にいく意思表示のひとつとして、この手付金でツアーの手配をお願いしますといったものになります。
旅行会社はそれにより手配をする義務が発生します。 また、そこに全額の強制もありません。
ですが、カード払いに関しては一括のカタチをとる場合も見られるので、その場合は旅行会社に確かめるのもいいでしょう。
あくまでも現金の一括払いを避けるべきなのであって、カード払いの一括についての是非については明言はできないといえます。
おすすめの支払い方法
現金の一括支払いを避ける。
そしておすすめの支払い方法として、旅行にも保険が適用されるカードで支払う方法です。
慎重に旅行会社選びをしても、万が一のことも起こりえます。
さきほどもお話ししたように会社の実情までも把握することはなかなかできません。
ここは大丈夫だろうとタカをくくってもそこに絶対はありません。
ですので、万が一今回のような事故が起きてしまった場合にそなえて消費者として我が身を守る方法もひとつの方法といえます。
今回のてるみくらぶ事故(事件?)においても実際の例があります。
騒動がおきてすぐに弁済対処をしてくれたカード会社があるのです。
例えば、アメックスのゴールドカードです。ショッピング保険により、カードで購入した品物の破損・盗難などの損害を補償しれくれるのです。
旅行商品として適用され、旅行商品の破損にあたるとして補償されたとのことです。
補償額はカードによって違いますが、アメックスカードで300万の補償といった感じです。
年会費はかかるかもしれませんがこういった補償機能のついたカードを利用するのも有効な方法といえます。
まとめ
消費者からすれば、安さは大きな魅力です。
様々な業種において価格競争がくりひろげられていることは消費者にとってはいいことだといえます。
じっさい“安くていいもの”をどの企業もが目指し、技術革新により安くていいものが日進月歩で生み出されているのも現状です。
ですがインターネットの普及により、商品の販路もインターネットが主要になってきています。
家電1つも、洋服1つも、はたしては食品までもがインターネットの情報のみで品質を判断し購入されている社会になってきています。
電気屋で家電をじっさいに体験してみる、車屋で車の性能をたしかめてみる、洋服を試着してみる。
ネットのみでの商品選びにはこういった、購入前に肌で試すといった作業離れの傾向になりがちです。
可能であれば、旅行会社選びもじっさいに直接店頭に行ったり、人に聞いたりして調べるのもいいかもしれませんね。